アルトゥス、金融向け「機関用ブロックチェーン・ファウンドリー」を正式化
概要
- アルトゥスは、金融機関のブロックチェーンサービスの構築・運営を支援する機関用ブロックチェーン・ファウンドリーとしての事業アイデンティティーを正式化したと明らかにした。
- アルトゥスは、メインネット、決済、トークン化、トレーディング、RWA、ステーブルコイン決済、オンチェーントレーディングなど、デジタル資産ベースの金融インフラ構築経験を、機関向けサービスの事業化基盤として提示していると説明した。
- アルトゥスは、FDE(Forward Deployed Engineering)モデルを通じ、設計から運営・高度化までを担う長期パートナーシップを構築し、規制・運営リスクやグローバル金融市場の変化に機動的に対応する体制を志向すると説明した。
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韓国のブロックチェーン企業アルトゥス(Altus、旧ビハベスト)が、金融機関のブロックチェーンサービスの構築・運営を支援する機関向け事業を本格化する。過去8年にわたって蓄積したノウハウをもとに、金融機関のデジタル資産インフラの技術パートナーを目指す。
アルトゥスは6月18日、韓国内の機関によるブロックチェーン導入需要を見据え、事業の方向性を正式に打ち出すと発表した。同社が掲げる中核の位置づけは「機関用ブロックチェーン・ファウンドリー」だ。
同社がこの事業アイデンティティーを前面に出すのは、ブロックチェーンの本質は既存の金融サービスの改善にあるとみているためだ。イ・ヒョンヨン代表は「金融機関がブロックチェーンを通じて金融インフラを進化させるには、技術だけを理解するパートナーでは十分ではない」と語った。さらに「ブロックチェーン技術と金融業界の文脈を同時に理解し、グローバル市場での経験を実際のシステムに蓄積してきた技術パートナーが必要だ」と強調した。
もっとも、ブロックチェーン技術の導入が概念実証(PoC)にとどまらず、実際のサービスにつながる例はまだ多くない。金融機関の需要は拡大しているものの、事業化には中核技術と金融業界の双方への理解が欠かせないためだ。実物連動資産(RWA)、ステーブルコイン決済、オンチェーントレーディングといったデジタル資産ベースの金融商品を設計し、構築・運営した経験も求められる。
金融機関にとって、ブロックチェーン事業は単なる新技術の導入ではない。アルトゥスは、機関によるブロックチェーン導入を、顧客資産、取引の安定性、規制対応が絡む複合的な意思決定と位置づける。テスト環境で動くシステムと、実際の市場で運用されるシステムの間に差がある点が課題になるという。
アルトゥスは、積み上げた技術力をもとに拡大する機関需要に対応できるとみる。同社は2018年の設立以来、足元までおよそ8年にわたり、ブロックチェーンの中核技術と金融インフラの研究開発(R&D)を続けてきた。アルトゥスは「メインネット、決済、トークン化、トレーディングなど、ブロックチェーンベースの金融機能を実装・運営した経験を、機関顧客のサービス事業化の基盤として提示している」と説明した。

アルトゥスの競争力の源泉は、8年間で築いたノウハウにある。同社はステーブル(Stable)、オルト(AULT)、カント(Canto)など4つのパブリックメインネットについて、設計から運営までをターンキーで手掛けた実績を持つ。会社側は、こうした経験をもとに、機関のブロックチェーン事業について設計段階からインフラ構築、運営、高度化までを支える長期パートナーを標榜するとしている。
イ代表は「既存の金融市場では、技術は運営効率を高める手段に近かった」と指摘した。一方で「ブロックチェーンでは事業上の要請が技術の潜在力とより深く結びつく」と話す。「技術パートナーがブロックチェーンと既存の金融サービスの相乗効果を細かく理解していなければ、現実的な解決策を設計するのは難しい」との認識を示した。
ブロックチェーンインフラ上で金融商品を設計し、構築・運営してきた点も強みだ。アルトゥスは4つのブロックチェーンで、RWA、ステーブルコイン決済、オンチェーントレーディングなどの金融機能を円滑に実装した実績がある。
具体的には、銀などの実物資産やビットコインを基盤とするトークン化システムを設計し、規制要件に沿った運営方式を構築した。米ドル建てステーブルコインのテザー(USDT)を活用したクロスボーダー決済ブロックチェーンも設計し、グローバルなPSP(Payment Service Provider)が国際決済を効率的に処理できるインフラも整えたという。オーダーブック型の現物・先物オンチェーントレーディング基盤の構築・運営も手掛けた。
アルトゥスは、機関のデジタル資産事業は統合サービスを志向すべきだとみている。トークン発行や投資家管理から、取引、担保、決済、清算、償還まで、デジタル資産に関わる機能は個別に見えても、実際のサービス環境では一貫した流れとして動く必要があるためだ。同社は、メインネットに加え、決済、トークン化、トレーディングなど複数のブロックチェーン金融サービスを実運営してきた経験が、こうした統合設計につながるとみている。
アルトゥスの関係者は「機関がブロックチェーンを導入する際には、インフラ開発だけでなく、事業目的、ワークフロー設計、規制・運営リスクへの理解も必要になる」と述べた。さらに「アルトゥスはデジタル資産インフラと金融商品をともに扱ってきた経験があり、各機能を一つの流れとして設計・実装できる」と説明した。
FDE(Forward Deployed Engineering)モデルもアルトゥスの強みの一つだ。FDEは、いわば現場密着型のエンジニアリングで、事業の目的や方向性を定める設計段階から加わり、システム構築、運営、機能拡張までパートナー企業を支援する手法を指す。アルトゥスは「FDEはシステムを構築した後に顧客へ引き渡して終える受託開発とは異なる」としたうえで、「設計から運営、高度化まで長期にわたりプロジェクトに責任を持つのがアルトゥスのやり方だ」と説明した。
同社がFDEモデルを採用した理由は明確だ。ブロックチェーンインフラは初期構築よりも、セキュリティー対応やプロトコルのアップグレードなど、グローバル金融市場の変化に応じた機動的な対応が重要だと判断しているためだ。イ代表は「技術システムは精緻なビジネスロジックと目的に合わせて設計され、継続的に発展しなければならない」と語った。そのうえで「そのためには顧客企業との長期的で緊密な協力が必要だ」と付け加えた。
FDEモデルを活用すれば、パートナー企業側にもブロックチェーン技術や事業ノウハウを蓄積できる利点がある。既存サービスの課題を単発で解消する受託開発ではなく、今後の改善策まで共同で設計する構造だからだ。アルトゥスが長期パートナーシップを強調する背景にも、こうした考え方がある。
アルトゥスの人員は約40人で、半数超をシニア級エンジニアが占める。カカオ、サムスン電子、KB国民銀行、ドイツ銀行、韓国電子通信研究院(ETRI)などの出身者が在籍する。金融向けブロックチェーンインフラに特化した同社の事業モデルを反映した人員構成といえる。
アルトゥスを率いるイ代表も、浦項工科大(POSTECH)で数学を専攻し、英レディング大で金融学の修士号を取得した後、メリッツ証券など韓国の金融機関を経た技術・金融分野の専門家だ。イ代表は「金融とブロックチェーン分野の人材を一つのチームとして融合させることに注力してきた」と述べた。さらに「FDEに最適化した組織へ成長するため、論理的思考や顧客とのコミュニケーション能力を特に重視する組織文化を築いた」と話した。

JOON HYOUNG LEE
gilson@bloomingbit.ioCrypto Journalist based in Seoul
