「サムスンの成果給が物価押し上げ」 韓国銀行総裁が警戒
期間別予測トレンドレポート


停戦後も高インフレが長引く公算
原油高、他品目にも波及の可能性
IT業種の成果給、需要面の物価圧力を刺激

韓国銀行(中央銀行)のシン・ヒョンソン総裁は、中東戦争が終結しても高止まりした原油価格が続き、消費者物価の上昇が相当期間続くとの見通しを示した。エネルギーにとどまらず、他の品目にも物価上昇圧力が広がる可能性が高まっているとの認識も示した。半導体企業が支給する多額の成果給については、需要面から物価を押し上げる要因になると指摘した。一方、市場の一部で取り沙汰されていたビッグステップ(政策金利の0.5ポイント引き上げ)の可能性には、否定的な見方をにじませた。
シン総裁は6月17日、韓国銀行で開いた物価安定目標の運営状況に関する点検記者説明会で「エネルギー供給網が中東戦争前の水準に正常化し、国際原油価格が安定するまでには長い時間を要する」と語った。消費者物価についても「高い伸びがかなりの期間続くだろう」との見方を示した。
韓国銀行は6月17日に公表した報告書で、2026年下期の消費者物価上昇率を3%前後、コア物価上昇率を2%台半ばから後半と見込んだ。シン総裁は、積み上がった原油高の影響がエネルギーだけでなく、時間差を置いて他の品目にも波及し得ると説明した。韓国銀行が2000年以降、原油高ショックが3カ月以上続いた事例を分析したところ、原油価格が10%上昇すると約5カ月後にコア物価が0.1ポイント以上上昇した。
2022年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争でも同様の現象がみられた。国際原油価格は2022年6月に1バレル118ドルまで急騰した後、下落に転じた。だが、石油類を除く品目の物価寄与度はむしろ拡大した。国際原油価格と工業製品、電気・ガス・水道、外食を除くサービス価格の上昇率との相関係数は、約14〜18カ月の時間差を置いてピークを付けた。原油ショックが約1年6カ月のラグを伴って他の財・サービス価格に広がったことを意味する。シン総裁は「足元のウォン安も原油高を増幅する二重の効果をもたらしている」と述べ、「物価の二次波及効果と期待インフレの刺激を警戒している」と強調した。
シン総裁はこの日、半導体企業の大規模な成果給が新たな物価上昇の刺激要因として浮上している点にも言及した。「5月の金融政策決定会合時より、賃金と需要が物価を押し上げる力は強まっていると判断している」と話した。
韓国銀行によると、業界上位10%水準の成果給を支払う事業所の比率が高まると、5カ月後の消費者物価は0.05ポイント上昇する。2026年1〜3月期の名目賃金上昇率3.4%のうち、IT部門の成果給による寄与度は1.3ポイントに達した。2012〜2025年の賃金分布基準で上位3%に当たる。
韓国銀行は、2027年初めにIT業種の賞与寄与度が上位1%を上回る異例の水準に達する可能性が大きいと分析した。半導体企業の成果給拡大が他産業の賃上げ要求につながり、需要面の物価圧力が一段と強まるという。
もっとも、市場の一部で浮上しているビッグステップ観測とは距離を置いた。シン総裁は「ビッグステップが議論された当時は、国債金利と為替相場が大きく上昇するなど市場環境は厳しかった」と振り返った。そのうえで「中央銀行は市場の一喜一憂に左右されず、経済の基調的な流れを見ながら金融政策を運営していく」と述べた。シム・ソンミ記者
シム・ソンミ記者 smshim@hankyung.com

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