ホルムズ海峡再開でも原油供給の正常化に最低3カ月
概要
- ロイターは、ホルムズ海峡の再開期待が高まっても、原油価格の安定と原油供給の正常化までには最低60〜90日かかる可能性があると伝えた。
- 戦争の余波で原油施設の破壊と戦略備蓄の放出による各国の在庫不足が続き、1バレル150ドル超まで急騰する可能性が指摘された。
- 一方、中国の原油需要減少と各国のエネルギー効率の改善は、原油価格急騰の可能性を抑える要因とみられている。
期間別予測トレンドレポート



3月にイランが海峡を封鎖し、海上原油輸送の20%が止まって以降、ホルムズ海峡は世界経済の成長を妨げる「チョークポイント(ボトルネック)」となった。6月14日、海峡正常化への期待を背景に原油価格が下落し、各国の株式相場が上昇したのはこのためだ。
ただ、原油価格の安定を見込むにはなお早い。海峡管理を巡る当事国の主張が食い違っているうえ、戦争中に中東産油国の原油施設が打撃を受けた。各国の石油在庫も底の水準まで低下しており、価格不安の火種は残っている。
FT「通行料免除は60日間のみ」
6月14日は終戦交渉の妥結を受け、100日超にわたって閉ざされていたホルムズ海峡の正常化期待が広がった。6月19日に終戦協約が正式に結ばれ、海峡が再開されれば、原油供給の逼迫も和らぐとの期待が高まっている。ロイターによると、海峡を抜けられずペルシャ湾内にとどまっている原油と精製油は6000万バレルに達し、世界の1日需要の80%に相当する。6月14日に北海ブレント先物が4%台下落したのも、供給拡大の可能性を織り込んだためだ。トランプ米大統領は同日、SNSに「イランとの終戦了解覚書(MOU)の署名式が行われ次第、ホルムズ海峡は開放される」と投稿した。
もっとも、不確実性はなお大きい。英フィナンシャル・タイムズは、通行料免除は60日間だけ適用される仕組みだと報じた。イラン政府関係者は、海峡で安全、航行、保安の「サービス」を提供し、手数料を徴収していると説明したうえで、その権利は全面的にイランとオマーンにあると強調した。どのような合意が成立しても、この枠組みは維持されるという。
原油供給もすぐには増えない公算が大きい。フィナンシャル・タイムズによると、イラン軍は終戦後30日間にわたり機雷除去を進める。足止めされている500隻超の船舶を通過させるにも時間がかかる。ロイターは、供給網の回復に最低60〜90日かかると報じた。戦争で破壊された生産設備の復旧にも数カ月、長ければ2〜3年を要する点が変数になる。
戦略備蓄放出で各国在庫は底に
供給網の回復が遅れれば、原油価格は当面下がりにくいとの懸念も強まっている。米ウォール・ストリート・ジャーナルは6月14日、戦争の余波で米国を含む主要国が戦略石油備蓄を放出し、原油在庫が底をつきつつあると報じた。エクソンのニール・チャップマン上級副社長は、在庫不足で備蓄放出に制約がかかれば、現物価格が再び1バレル150ドル超まで急騰しかねないと警告した。
一方で、悲観一辺倒でみる必要はないとの指摘もある。電気自動車の普及拡大や内需不振を背景に、原油の大口消費国である中国の需要が減っているためだ。中国の5月の原油輸入量は日量780万バレルと、8年ぶりの低水準を記録した。各国でエネルギー効率が高まったことも、原油価格の急騰リスクを抑える要因とされる。世界銀行によると、2000年以降、インフレ調整後の国内総生産(GDP)1ドルを生み出すのに必要なエネルギーは、米国と欧州で約3分の1、中国で約40%減った。
7月になって韓国のガソリン価格下落へ
海峡内に足止めされている韓国船舶24隻がいつ海峡を抜けられるかも関心を集めている。業界では、海峡通過に制限がかかっているため、早期復帰は難しいとの見方が強い。
韓国国内のガソリン価格は、2〜3週間後に下がり始める見通しだ。比較的高値で調達した原油が倉庫に残っており、小売価格をすぐに引き下げるのは難しい。中東産原油の輸送にかかる時間や製油会社の精製期間、既存在庫の消化サイクルを踏まえると、ガソリン価格が下落基調に転じるのは7月ごろになりそうだ。
ファン・ジョンス/パク・ジョングァン/ノ・ユジョン記者 hjs@hankyung.com

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