サムスン電子・SKハイニックス急落、なお買い場か 半導体ピークアウト懸念に短期調整論
概要
- サムスン電子とSKハイニックスの急落で、半導体株と単一銘柄レバレッジETFの投資家が短期間で大きな損失を被った。
- 証券業界はメモリー市況のピークアウトより、これまでの急騰に伴う短期調整の可能性を重視しており、サムスン電子・SKハイニックスの目標株価は据え置いた。
- 一部証券会社とジェンスン・ファン氏は、AI投資とデータセンター需要は底堅いとして、今回の株価調整は買い場であり、今は株式を安く買える時期だと評価した。
期間別予測トレンドレポート



サムスン電子とSKハイニックスの株価がそろって急落し、韓国株式市場では「半導体ピークアウト」への警戒が急速に強まっている。相場をけん引してきた「サムスン電子・SKハイニックス」が崩れ、単一銘柄レバレッジ型の上場投資信託(ETF)に投資した投資家は1日で2割前後の損失を抱えた。人工知能(AI)投資サイクルの減速やメモリー市況のピーク論が浮上するなか、証券業界では業況悪化よりも急騰後の短期調整との見方が優勢だ。
サムスン電子・SKハイニックス急落、ETF投資家に打撃
6月8日の韓国市場で、サムスン電子は前営業日比10.18%安の29万5500ウォン(約3万1900円)で取引を終えた。終値で30万ウォン台を割り込むのは6営業日ぶりだった。株価は6月4日以降、3営業日続落し、この間の下落率は18%に達した。
SKハイニックスも7.68%安の191万1000ウォン(約20万6400円)で引けた。終値で200万ウォン台を下回るのは9営業日ぶり。6月2日以降は4営業日連続で下落し、4日間の下落率は19%に達した。韓国株を主導してきた両銘柄の同時安を受け、KOSPIも揺らいだ。指数は取引時間中に一時8%超下落し、7484.41で終えた。
半導体株調整の火種は米国市場から広がった。米半導体大手ブロードコムが先週後半に決算を公表した際、先行きのAI半導体売上高見通しが市場予想に届かず、投資家心理が冷え込んだ。米雇用指標の強さを受けて利上げ懸念が再燃したことも重荷になった。フィラデルフィア半導体株指数が10.26%急落したことも、韓国の半導体株安に影響した。
主力2銘柄の値動きが荒くなり、関連ETFを高値圏で買った投資家は運用成績の悪化を避けにくくなった。とりわけ単一銘柄レバレッジETFの打撃が大きい。サムスン電子の現物騰落率を2倍で追うレバレッジETF5本は、6月8日にそろって20%台下落した。SKハイニックスの現物騰落率を2倍で追うレバレッジETF5本も16%前後下げた。
個人投資家の損失拡大は避けにくい。直近1週間の個人投資家によるETF純買越額上位を見ると、単一銘柄レバレッジ商品が1〜4位を占めた。首位の「KODEXサムスン電子単一銘柄レバレッジ」には1兆1611億ウォン(約1250億円)が流入した。これに「TIGERサムスン電子単一銘柄レバレッジ」の8293億ウォン(約890億円)、「KODEX SKハイニックス単一銘柄レバレッジ」の7433億ウォン(約800億円)、「TIGER SKハイニックス単一銘柄レバレッジ」の6296億ウォン(約680億円)が続いた。
単一銘柄型でなくても、ETF市場ではこれまで「サムスン電子・SKハイニックス」への集中が続いてきた。このため関連ETFの投資家も損失を抱えた。コスコムのETFデータプラットフォーム「ETFチェック」によると、6月8日時点でサムスン電子を組み入れている韓国国内ETFは229本あり、推定組入額は51兆554億ウォン(約5兆5100億円)に上る。SKハイニックスを組み入れるETFは213本で、推定組入額は46兆2661億ウォン(約4兆9900億円)だった。韓国のETF市場全体の純資産が約500兆ウォン(約54兆円)であることを踏まえると、2銘柄の組入額97兆3215億ウォン(約10兆5000億円)は市場全体の約5分の1を占める計算になる。
証券業界「業況悪化より短期調整」
韓国の大型半導体株がここ数日連日で軟調に推移し、市場では本格的なピークアウトが始まったのではないかとの不安も広がっている。ただ、証券業界の見方は異なる。足元の利益モメンタムとAI投資の流れを踏まえると、半導体業況が折れたとみるのは難しいという。むしろ、これまで急騰した株価が短期の利益確定売りに押されている局面だとみている。
キウム証券のハン・ジヨン研究員は「最近の米半導体株急落は、メモリーアップサイクルのピークアウトやAI需要減速といった業況悪化に起因するとみるのは難しい」と分析した。そのうえで「これまでの株価急騰と偏りの深まりで疲労感と需給負担が蓄積していたところに、雇用サプライズを受けた米市場金利の上昇が、過熱解消に向けた調整の口実を与えたようだ」と説明した。
現代車証券のキム・ジュンウォン研究員も、今回の下落をAI投資サイクルの終了ではなく、短期的な期待修正と位置づけた。同氏は「最近はAI投資の増加率減速への懸念と、半導体株の利益確定売り圧力が繰り返し表れ、半導体中心の大型成長株の短期変動性が拡大した」と指摘した。一方で「HBM4(第6世代広帯域メモリー)の供給網構築と、次世代高性能GPUの出荷期待は維持されている」とし、「AI投資サイクルの終了ではなく、短期的な期待修正と判断する」と述べた。
米雇用指標の強さはAIデータセンター需要の底堅さを示しているとの解釈もある。ダオル投資証券のキム・ジヒョン研究員は「今回の米雇用統計では、非住宅建設のうち専門建設業の雇用が1万1000人増えた点に注目している」と語った。「この項目は電気工事の比重が最も大きい。最近のデータセンター建設が際立った増加傾向を示している点を踏まえると、AI投資はなお活発だと解釈できる」と付け加えた。
SK証券は今回の株価調整を買い場と位置づけ、サムスン電子とSKハイニックスの目標株価をそれぞれ61万ウォン(約6万5900円)、400万ウォン(約43万2000円)に据え置いた。ハン・ドンヒSK証券研究員は「AI時代におけるメモリーの構造的なボトルネック、存在感の高まり、メモリーメーカーの業績の強さは短期で変わる価値ではない」と強調し、「調整は機会だ」と述べた。
現代車証券のキム・ジュンウォン研究員も「大型半導体成長株は、自己資本利益率(ROE)の改善と株価収益率(PER)の割安転換が同時に確認されている。下半期も中核的な組み入れ比率を維持する必要がある」と提言した。
エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)も、AIインフラ需要への自信を示した。ファンCEOは6月8日、ソウル市鍾路区のSKソリンビルで「現在、世界ではより多くのAIファクトリーを求める膨大な需要を目の当たりにしており、事業は好況だ」と述べた。さらに「AIインフラ構築はまだ始まりにすぎず、未来は非常に明るい」と語り、「今は株式を安く買える時期だ」と付け加えた。
カン・ギョンジュ 韓経ドットコム記者 qurasoha@hankyung.com

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