エネルギー危機説と米追加関税懸念でウォン急落、市場は1ドル=1550ウォンも視野
概要
- ドル・ウォン 相場が1ドル=1540ウォンまで急騰したのは、中東戦争の長期化に伴う 原油需給不安 と米国の 関税不透明感 が重なったためだ。
- 外国人投資家は今年、韓国株を112兆3255億ウォン売り越し、アジア主要国の中で ウォンの下落率が最大 となっている。
- 政府と業界は、8月の原油需給危機説 と 追加関税 の可能性は低いとみる一方、市場では相場が 1ドル=1550ウォンまで上昇する余地がある との観測が出ている。
期間別予測トレンドレポート


ドル・ウォン相場が6月4日の夜間取引で一時1ドル=1540ウォンまで急騰した。中東戦争の長期化を受けた原油需給への懸念に、対米関税を巡る不透明感が重なったためだ。外国人投資家の大規模な利益確定売りも続き、原油の中東依存度が高いアジア諸国の中でもウォンの下落が際立っている。
ドル・ウォン相場は足元で国際原油価格との連動性を強めている。中東情勢が悪化して原油価格が急騰すると、為替相場も一段とウォン安・ドル高に振れる展開が繰り返されている。6月4日に相場が取引時間中に1ドル=1540ウォンまで上昇したのも同じ構図だ。
ウリィ銀行のミン・ギョンウォン研究員は、市場が週末中の交渉妥結よりも膠着状態の長期化に重きを置き、リスク回避姿勢が続いたと分析した。iM証券のパク・サンヒョン研究員も、原油在庫が不足しかねないとの不安心理が強まり、原油輸入国である韓国の通貨に強い下押し圧力がかかっていると指摘した。
一部では、原油需要が急増する真夏までホルムズ海峡の封鎖が続けば、8月に原油需給危機が起きる可能性があるとして「8月危機説」も浮上している。
もっとも、こうした事情を踏まえてもウォン安の進行は急だとの指摘がある。ソウル外国為替仲介によると、中東戦争勃発直前の2月27日から6月3日までにウォンの価値は5.20%下落した。
日本(2.41%)、台湾(0.36%)、シンガポール(1.35%)はもちろん、タイ(5.07%)やインド(4.95%)よりも下落幅が大きかった。市場は、外国人による急速な株式売りが主因とみる。外国人は年初から6月3日までに韓国株を112兆3255億ウォン(約11兆2300億円)売り越した。6月4日も有価証券市場で7兆ウォン(約7000億円)近くを純売り越した。
米国の関税問題も再び市場の重荷になっている。米通商代表部(USTR)は6月3日、強制労働に関する通商法301条調査の結果を公表し、韓国に12.5%の関税を課す方針を示した。過剰生産を巡る301条調査の結果公表も残っており、最終関税率が昨年合意した15%を上回るとの懸念が強まっている。

市場では足元の為替相場の振れが行き過ぎているとの見方もある。韓国政府は「8月の原油需給危機説」について、現実化する可能性は低いと説明する。8月に使う分として、すでに約7500万バレルを確保しているという。これは2025年8月の原油輸入量8500万バレルの88%にあたる。
政府関係者は、例年の需給水準の70〜80%を導入できれば、ナフサ分解設備(NCC)など国内の必須産業を稼働させ、個人消費を維持するうえで大きな問題はないと述べた。
市場が警戒する「過剰生産を理由とする追加関税」についても、現実化する可能性は低いとの分析が出ている。通商法301条では理論上、関税率の上限はない。
ただ、キム・ジョングァン産業通商資源相は6月4日、SNSを通じて、6月3日にハワード・ラトニック米商務長官とテレビ会議を開き、韓国に対しては昨年の関税合意を超える関税を課さないことを確認したと明らかにした。米国は、3500億ドル規模の対米投資と引き換えに相互関税を15%に引き下げるとした昨年の合意を破らないとしたという。
市場では当面、ドル・ウォン相場の高止まりが続くとの見方が多い。韓国投資証券のムン・ダウン研究員は、戦争後に付けた前回高値をオフショア市場で試しただけに、次の上値の目安は見極めにくいと語った。一方で、終戦交渉が電撃的にまとまれば、相場が1ドル=1400ウォン台前半まで急低下する可能性もある。
シム・ソンミ/キム・デフン記者 smshim@hankyung.com

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