イラン戦争長期化なら「世界景気後退」 OECDが警告
概要
- OECDは、イラン戦争長期化で一部の国の景気後退と世界経済成長率の鈍化が避けられないと明らかにした。
- OECDは、ホルムズ海峡発の混乱が続けば、世界の経済成長率が1.8%%まで低下し、物価上昇率も大きく高まる可能性があるとした。
- OECDは、公的債務が高水準にあるなか、財政拡大や金融引き締め・緩和の余地が限られ、政策金利の追加引き上げの可能性もあると警告した。
期間別予測トレンドレポート



中東紛争の長期化が世界経済を景気後退の危機に追い込むおそれがあるとして、経済協力開発機構(OECD)が警告を発した。
ブルームバーグが6月3日に報じた。OECDは同日公表した最新の経済見通しで、イラン戦争がすでに世界経済の成長を抑えていると分析した。戦争が長引けば、一部の国が景気後退に陥り、物価上昇圧力も大幅に強まる可能性があるとみている。
報告書では、イラン戦争が長期化した場合、世界経済は新型コロナウイルス禍と2009年の金融危機を除けば、過去40年で最も深刻な減速に見舞われる可能性があると指摘した。このシナリオでは、世界の物価上昇率が今年は従来見通しより0.4ポイント、来年は1.3ポイント高くなると見込んだ。
OECDのステファノ・スカルペッタ(Stefano Scarpetta)チーフエコノミストは「中東紛争は世界経済見通しを左右する支配的な要因になった」と述べ、「世界経済は再び圧力を受けている」と語った。
焦点はホルムズ海峡だ。OECDは、同海峡を巡る混乱が来年まで続けば、世界の経済成長率が1.8%まで低下する可能性があると分析した。一部の国は景気後退、あるいはそれに近い状況に陥るおそれがあるという。人工知能(AI)投資も冷え込む可能性があるとした。
政策対応の余地も限られそうだ。OECDは、主要国の財政拡大が景気への打撃を和らげる主な手段になる可能性が高いとみる。ただ、各国政府の公的債務はすでに高水準にあり、対応余地は限られると診断した。
中央銀行も難しい対応を迫られている。物価を抑えるには金融引き締めが避けられない一方、過度な引き締めは景気減速を一段と悪化させかねないためだ。OECDは、比較的緩やかなショックのシナリオでは、一部の国で利上げが続いた後、来年に物価上昇圧力が和らげば利下げに転じるとの見通しを示した。
ただ、中東発の衝撃が長引き、物価上昇ペースが加速すれば、大半の国で政策金利が0.5〜0.75ポイント追加で引き上げられる可能性があると予測した。その後、景気成長の鈍化が深まれば、主要国の中央銀行は来年再び利下げに動く公算が大きいとみている。
スカルペッタ氏は「インフレ期待が安定的に保たれ、二次的な波及効果が抑えられれば、中央銀行は供給要因による物価上昇を一時的に見守ることができる」と指摘した。そのうえで「物価上昇圧力が広がる、あるいは成長が大きく弱まる場合には、政策対応が必要になる可能性がある」と付け加えた。

JOON HYOUNG LEE
gilson@bloomingbit.ioCrypto Journalist based in Seoul
