日銀、インフレ対応遅れなら攻撃的利上げ不可避に 元理事が警鐘
期間別予測トレンドレポート



日銀の元理事、桜井真氏は、日本がイラン戦争に伴うインフレに機動的に対応しなければ、攻撃的な利上げを迫られる恐れがあると警告した。秋以降には物価上昇率が3.5%まで高まる可能性があるうえ、株式や不動産にバブルの兆しも出ており、長期の景気低迷を招いた過去の政策判断の誤りを繰り返しかねないという。
日銀は昨年末以降、インフレ圧力が続くなかでも、なお利上げに踏み切っていない。円安進行には、中央銀行によるドル売り・円買い介入で対応している。
ロイターが6月1日に報じた。桜井氏は、日銀が金利を低く据え置く期間が長すぎたため、インフレが急伸した局面で大幅かつ攻撃的な利上げを強いられる可能性が高まったと指摘した。「イラン戦争による物価上昇圧力が強まるにつれ、7〜9月期から日本経済はスタグフレーションが避けられない」との見方を示した。
ここ数カ月は補助金の効果で、コア消費者物価指数は日銀目標の2%を下回ってきた。ただ、企業がコスト増を価格に転嫁しており、秋以降は3.5%前後まで加速する可能性が高いと語った。
桜井氏は、株式市場と不動産市場にバブルの兆候が表れているとも指摘した。日銀も4月に公表した半期金融システムリポートで、これをリスク要因に挙げている。
「日銀が市場の流れに後れを取る深刻なリスクがある」。桜井氏はこうしたうえで、「現在の経済環境で6月に利上げしないのは考えにくい」と強調した。
日銀は2024年に、10年続いた大規模な景気刺激策を終了し、12月を含め数回にわたって利上げした。だが、物価上昇率が4年連続で2%目標を上回るなかでも、短期政策金利は0.75%の低水準にとどまっている。
市場では、6月の利上げ確率を約80%とみている。政策金利は25bp(1ベーシスポイント=0.01%)引き上げられ、1%になるとの予想だ。
イラン戦争を受けたエネルギー価格の上昇は、インフレをあおると同時に、石油輸入への依存度が高い日本経済を圧迫している。
日本の国内総生産(GDP)は、景気拡大の兆しをほとんど示していない。1〜3月期の成長率は年率2.1%だったが、アナリストは、燃料費の上昇と供給網の混乱で企業収益が打撃を受け、成長は鈍化すると予想している。
円安と人手不足を背景に企業の値上げが進み、インフレ圧力は強まっている。
今回の紛争で引き起こされたエネルギーショックを受け、政策当局は対応策を探るため過去の経験を振り返っている。日銀の植田和男総裁は、1973年と1979〜1980年の2度のオイルショックを例に挙げた。
植田総裁が言及しなかったのが、日本の資産バブルだ。これは日銀が1986年以降、円高に対応するため大量の資金を供給したことに端を発する。資産価格が急騰するなかでも緩和的な金融政策を続けたことで、バブルは一段と膨らんだ。日銀は1989年に政策を転換したが、一連の攻撃的な利上げはバブル崩壊につながり、その後30年にわたる景気低迷の一因になったとされる。
日経平均株価は6月1日、人工知能(AI)関連株の上昇を追い風に、初めて6万7000円台を突破した。国内の地価も2024年に34年ぶりの高い伸びを記録した。
桜井氏は「日銀が今、利上げを先送りすれば、後になってより急ピッチで利上げせざるを得なくなり、経済に悪影響を及ぼす」と述べた。「再び『失われた10年』を招く過ちを繰り返すリスクに直面している」と付け加えた。
キム・ジョンア客員記者 kja@hankyung.com

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