中国の低価格攻勢に欧州が対抗 中EU通商対立、構造問題に発展
概要
- EUは対中貿易不均衡と中国の製造業の過剰供給を構造的な衝突と認識し、通商対立が激化していると明らかにした。
- EUは産業加速化法と貿易防衛手段の強化を通じ、電気自動車・電池・太陽光など欧州の製造基盤を守ろうとしている。
- 中国はレアアースなど重要原材料、農食品輸入、反ダンピング調査を活用した選別的報復カードでEUに断固反撃する構えを示した。
期間別予測トレンドレポート


「これ以上は耐えられない」――中国の低価格攻勢を受け、欧州連合(EU)が対抗措置に動いている。電気自動車補助金調査や関税賦課を巡る個別案件を超え、中国の製造業の過剰供給、EUの産業基盤の弱体化、重要原材料への依存が絡む構造的な衝突の様相を強めている。

中国とEUの通商対立が激しさを増している。電気自動車への補助金調査や関税賦課を巡る個別紛争にとどまらず、中国の製造業の過剰供給、EUの産業基盤の弱体化、重要原材料への依存が一体となった構造問題に広がっている。
中国商務省は5月30日、声明を出し、EU側が一方的に新たな通商手段を導入し、差別的措置を講じるなら、中国は断固として反撃し、効果的な措置で自国の利益を守ると表明した。
あわせて、EUが世界貿易機関(WTO)ルールを順守し、自由貿易と公正競争を堅持して、保護主義と一国主義に断固反対するよう求めた。
5月30日の商務省声明では、2025年に米中の貿易戦争が激化した際に中国が米国に対して繰り返し使った表現が目立った。
これに先立ち、欧州委員会は5月29日の声明で、中国との協力と対話は続けるとしつつ、現在の対中貿易・投資関係は持続可能ではないと強調した。経済と安全保障上の利益がますます密接に絡み合っているとして、両分野で強力かつ一貫した対応が必要だと指摘したうえで、中国との貿易不均衡の問題は主要7カ国(G7)首脳会議とEU首脳会議でも追加で協議されると付け加えた。
EUが中国を単なる貿易相手ではなく、欧州の産業競争力を圧迫する存在とみなしていることを示す。
EUが2026年に入り対中通商摩擦を強めているのは、貿易不均衡を景気循環に伴う一時的な現象とはみていないためだ。EUの対中商品収支の赤字は拡大が続いている。
中国の影響力も、一部品目からより広い産業生態系へ急速に広がっている。これまでEUの対中通商措置は、太陽光パネル、鉄鋼、電気自動車など個別産業に対する反ダンピング・反補助金調査に集中していた。
だが最近は、中国の低価格輸出が電気自動車、電池、太陽光、鉄鋼、化学、医療機器、電子商取引の消費財にまで同時多発的に広がり、欧州市場を圧迫している。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、中国製の低価格商品の流入が欧州の製造業を脅かし、EU内部で中国依存の低減策を巡る議論が切迫していると報じた。
こうしたなか、EUは幅広い政策手段を準備している。欧州委員会は産業加速化法を推進している。欧州産製品と低炭素製品に公共調達や公的支援で優遇条件を設け、域内の製造基盤を強化するのが目的だ。
中国商務省は、この法案が電池、電気自動車、太陽光、重要原材料の分野で、第三国の投資家に技術移転、外国人持ち分の制限、現地雇用、現地部品の使用といった制約条項を課すとして強く反発している。
フランス、イタリア、スペイン、オランダ、リトアニアなどは、EUの貿易防衛手段をより速く、より強力にすべきだとの立場を示している。これらの国は、既存の反ダンピング・反補助金措置は発動が遅く、対象範囲も狭いうえ、迂回も容易だとみている。
そのため、調査範囲の拡大、企業単位の制裁、分野別セーフガード、第三国経由の迂回輸出の制限などを提案した。中国を名指しはしていないが、各国とも中国の構造的な過剰生産と低価格輸出を念頭に置いている。
専門家は、中国とEUの通商摩擦は米中対立とは様相が異なるとみる。米中の通商対立は、関税や技術統制、安全保障同盟を組み合わせた覇権競争の性格が強い。
一方、中EUの通商対立は、軍事・安全保障上の覇権争いというより、産業の生存とルールを巡る競争に近い。
米国は中国を戦略的競争相手であり、軍事・技術覇権への挑戦者と位置づけている。EUも中国を競争相手と規定しているが、米国に比べて中国との貿易依存度が高く、加盟国ごとの利害も食い違う。
米国は対中関税や輸出規制、同盟国への圧力を通じて中国の先端技術への接近を制限することに軸足を置く。これに対しEUは、WTOルールや域内法制といった制度的な手段を重視している。
NYTは、EUが中国に強く対応しようとする一方、報復や消費者負担、加盟国間の意見対立を同時に懸念していると伝えた。
中国はこうした状況のなかで、複数の反撃カードを準備している。米国との通商対立の過程では、レアアースや重要鉱物の輸出規制を交渉カードとして活用しており、その影響は欧州企業にも及んだ。
専門家は、全面的な貿易戦争は中国にとっても負担が大きいため、選別的な報復手段を使う可能性が高いとみる。レアアース、農食品輸入、欧州企業の中国国内での許認可や調査、特定品目に対する反ダンピング調査などが候補に挙がる。
北京のある関係者は、中国とEUの認識の差が縮まらなければ、貿易制裁と選別的報復が繰り返される「管理された衝突」が続く公算が大きいと語った。
北京=キム・ウンジョン特派員 kej@hankyung.com

Korea Economic Daily
hankyung@bloomingbit.ioThe Korea Economic Daily Global is a digital media where latest news on Korean companies, industries, and financial markets.
