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半導体特需で空前の好況、家計は保険まで解約 高金利下で延滞急増

出典
Korea Economic Daily

概要

  • 半導体スーパーサイクル輸出好況を追い風に、KOSPI指数経常黒字が過去最高圏まで拡大している。
  • 高金利下でも株価金利がそろって急伸し、成長率名目成長率税収増への期待が高まる一方、二極化庶民経済の負担は深まっている。
  • カードローンの長期延滞不良債権保険解約個人・法人破産が急増し、K字型格差が内需回復と脆弱な借り手のリスク要因として浮上している。

期間別予測トレンドレポート

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写真:韓経DB
写真:韓経DB

高金利は常に株価の敵とされてきた。ウォーレン・バフェット氏は「金利は資産価値を引き下げる重力だ」と表現した。だが2026年の市場は様相が異なる。各国の国債利回りと株価が同時に急騰している。韓国、米国、日本はいずれも同じ構図だ。

見方は分かれる。強気派は新たな相場の物語が始まったとみる。人工知能(AI)時代には、大規模投資が生む収益率が金利上昇を上回るという考え方だ。一方で、高金利の行き着く先は常に景気後退だったとの反論も根強い。高金利下でも史上最高値を更新する株価がどこへ向かうのか。市場の関心はそこに集まっている。

韓国総合株価指数(KOSPI)は5月29日、過去最高値を更新した。前日比3.55%高の8476.15で取引を終えた。韓国銀行が5月28日に政策金利の引き上げ方針を正式化したが、市場は意に介さなかった。年初から株価はほぼ2倍に上昇し、景気にも持ち直しの兆しが出ている。韓国銀行は2026年の成長率が潜在成長率の1.8%を上回る3%程度になると見通した。1人当たり国民総所得(GNI)が初めて4万ドルを超えるとの観測も出ている。

市場には、高金利がもたらす引き締め局面を危機ではなく新たな機会と受け止める空気が広がる。「高金利は経済成長のもう一つの側面だ」との解釈だ。米国だけでなく、ハードウエア競争力を持つ韓国も新たな循環局面に入ったとの主張も広がっている。

金容範(キム・ヨンボム)大統領室政策室長は「危機の前兆ではなく、飛躍に伴う摩擦音であり、成功のコストだ」と語った。韓国が、生産性向上が金利上昇を上回る「メガフォース(Mega Forces、巨大な構造変化)」の列に加わったと評価する向きも多い。

もっとも、各種の金融指標は別の方向を示している。クレジットカード延滞は2003年のカード危機以来の高水準に膨らみ、銀行圏の不良債権も2019年以来の大きさとなった。リスクもなお残る。戦争に起因する物価上昇を背景に、韓国だけでなく米国債利回りも連日で高値を更新している。ウォンの対ドル相場は年間ベースで最安値を付ける公算が大きい。

冷え込みが続く内需と家計の負担も重い。所得格差を示す五分位倍率は2026年1〜3月期に6.59倍となり、5年ぶりの高水準だった。朴昇(パク・スン)元韓国銀行総裁は「半導体中心の成長の陰で、格差と不均衡が深まっているだけに、これへの備えが必要だ」と指摘した。金利と株価の同時上昇がいつまで続くのか。市場は株価と金利の先行きを注視している。

半導体特需で輸出・成長率が加速

2026年の経常黒字2500億ドル、過去最高圏 名目成長率は24年ぶり2桁も

外国人投資家や国際的な格付け会社は、輸出主導型経済である韓国の代表的なファンダメンタルズ指標として経常収支を重視する。経済危機の前には例外なく経常収支が悪化し、逆に好況期には黒字幅が急拡大してきた。半導体のスーパーサイクルを追い風に、2026年の経常収支は前年の2倍を超える2500億ドルに達する見通しだ。ただ、半導体好況の果実は一部の高所得層に偏り、庶民が実感する景気はなお冷え込んでいる。

韓国銀行が5月28日に公表した「経済見通し」によると、2026年の経常黒字は2500億ドルと推計された。前年の過去最高だった1230億ドルの約2倍にあたる。2026年の経常黒字は、直近3年間(2023〜2025年)の合計額2556億ドルに迫る規模だ。

韓国銀行は、半導体輸出の急増で経常黒字が大きく膨らむとみている。産業研究院は2026年の輸出額が9244億ドルと、前年に比べ30.3%増えると予想した。半導体輸出は3501億ドルと、101.1%増える見通しだ。韓国はこの勢いを背景に、オランダを抜いて中国、米国、ドイツに次ぐ世界4位の輸出国に浮上する見込みだ。

輸出好調は成長率と税収増にもつながっている。韓国銀行は強気シナリオで、2026年の実質成長率が3.1%に達すると見込む。潜在成長率の1.8%を大きく上回る水準だ。政府は2026年の名目成長率が10%前後になるとみている。実現すれば2002年の11%以来の高水準となる。この場合、2015年から2025年まで11年連続で3万ドル台にとどまってきた1人当たりGNIも、初めて4万ドルを超える可能性がある。

政府の国税収入も、前年より11.1%多い415兆4000億ウォン(約4兆6100億円)となり、過去最大を更新する見通しだ。5月の補正予算編成時に見込んだ超過税収25兆2000億ウォン(約2800億円)を反映した数値である。足元ではサムスン電子とSKハイニックスの業績拡大を受け、超過税収は補正予算時より15兆ウォン(約1700億円)ほど多い40兆ウォン(約4400億円)規模に膨らむとの観測も出ている。

ただ、好況の熱気は経済全体には広がっていない。雇用労働部によると、2026年1〜3月期の正規職の月平均賃金は486万2000ウォン(約54万円)と前年同期比3.9%上昇した。一方、臨時・日雇い労働者の賃金は176万7000ウォン(約20万円)で、上昇率は0.7%にとどまった。

株高の恩恵も上位層に集中している。韓国銀行によると、2020〜2024年に純資産上位20%の世帯が得た年平均の資本利得は206万ウォン(約23万円)だった。これに対し、残る階層は10万〜41万ウォン(約1万1000〜4万6000円)にとどまった。半導体スーパーサイクルと株式市場の活況の恩恵が、多くの国民には及んでいないという。

保険まで解約、破産に追い込まれる家計

カードローン長期延滞は84%増、不良債権は7年ぶり高水準

高金利の余波で庶民の暮らしが揺らいでいる。カードローンの長期延滞は2003年のカード危機以降で最大に膨らんだ。老後の安全網とされる保険を解約する動きも増えている。中小企業の返済負担も重く、銀行圏の不良債権は7年ぶりの高水準となった。K字型の二極化が内需回復の足かせになっている。

韓国金融監督院によると、専業カード会社8社(サムスン、新韓、KB国民、現代、ハナ、ウリ、ロッテ、BC)の2025年末時点の6カ月以上の長期延滞額は4709億ウォン(約520億円)だった。1年前の2561億ウォン(約280億円)に比べ83.9%急増した。2003年のカード危機時の6108億ウォン(約680億円)以来の大きさだ。長期延滞額は事実上、返済不能の不良債務に分類される。物価上昇と利払い負担が積み上がるなか、限界に追い込まれた債務者が急増したとみられる。

延滞は中小企業と自営業者を中心に増えている。金融監督院が5月29日に公表した「国内銀行の不良債権の現況」によると、2026年3月末時点の銀行圏の不良債権は17兆7000億ウォン(約1兆9600億円)だった。2019年1〜3月期の18兆5000億ウォン(約2兆500億円)以来の高水準である。企業向け融資の不良債権は14兆2000億ウォン(約1兆5700億円)と、2025年末に比べ1兆ウォン(約1100億円)増えた。

地域別にみると、地方のリスクが警戒水準に近づいている。与党「国民の力」の姜旻局(カン・ミングク)議員によると、釜山、慶尚南道、光州、全羅北道、済州の地方銀行5行の2026年3月末時点の平均延滞率は1.31%だった。主要都市銀行5行の平均延滞率0.40%の3倍を超える。地方の不動産市況がなかなか持ち直さず、地域経済の低迷が長期化しているとの分析がある。

保険を解約する契約者も増えている。韓国の生命保険業界で、2026年2月までの累計解約返戻金は11兆8965億ウォン(約1兆3200億円)となり、前年同期比27.8%増えた。解約返戻金は契約者が自発的に保険を解約した際に受け取る資金を指す。家計事情の悪化を受け、まとまった資金を確保するための「生計型解約」が急増したためだ。

延滞負担に耐えきれず、破産申請に踏み切る個人も相次いでいる。法院統計月報によると、2026年4月までの個人破産の受理件数は1万4535件となり、前年同期比11.4%増えた。新型コロナウイルス禍のただ中だった2021年の1万6956件以来の高水準である。

法人破産も同様だ。2026年4月までの受理件数は859件と、前年同期比19.6%増えた。関連統計の集計を始めた2016年以降で最多となった。自営業者と中小企業の不良が深刻化し、個人と法人の破産申請がそろって増えたとみられる。

庶民の暮らし向きは今後さらに厳しくなるとの見方は多い。当面、高金利・高物価・高為替の局面が反転しなければ、脆弱な借り手の大規模延滞が現実味を帯びると専門家は懸念する。史上最高圏の株高の裏側で、家計、中小企業、自営業者といった実体経済を支える主体が崩れ、K字型格差が一段と深まる恐れがある。

キム・イクファン/チャン・ヒョンジュ/カン・ジンギュ記者 lovepen@hankyung.com

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