概要
- WSJは、ステーブルコインが世界の金融市場のリスク要因として浮上しており、民間企業が発行する「民間通貨」に近いと報じた。
- WSJは、ステーブルコインの担保資産の価値が揺らいだ場合、コインランと米国債など資産の強制売却を招き、その衝撃が金融市場全体に広がる可能性があると指摘した。
- WSJは、米国のGENIUS法やCLARITY法といった規制にもかかわらず、海外ステーブルコインや報酬プログラムによる迂回の余地が残っており、金融界が代替策としてトークン化預金を打ち出し始めたと伝えた。
期間別予測トレンドレポート



ステーブルコインが世界の金融市場のリスク要因として浮上している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月26日に報じた。ドルに連動して価格変動を抑えた次世代の決済手段として注目されてきたが、結局は民間企業が発行する「民間通貨」に近いという。
ステーブルコインは、米国債や銀行預金などの安全資産を裏付けに、1コインを1ドルの価値に維持するよう設計されている。代表例はテザーとサークルだ。支持派は、従来の銀行網より速く安価な決済が可能で、とりわけ国境をまたぐ送金で強みがあると主張する。
問題は信認にある。ドルと違って、ステーブルコインは民間のプラットフォームとブロックチェーンのインフラ上で動く。1ドルが1ドルとして通用する「単一性」は完全には保証されていない。実際、テザーやサークルのコインも、市場環境によってはドルの価値からわずかに外れる。
利回りの追求もリスク要因だ。発行体には、利用者を増やして収益を高めるため、報酬プログラムを設けたり、より高い利回りを得られる資産で準備金を運用したりする誘因がある。WSJは、担保資産の価値が揺らげば投資家が一斉に償還に動く「コインラン」が起きる可能性があると指摘した。この過程で米国債などの資産の強制売却が続けば、衝撃は金融市場全体に広がりかねないと警告した。
米国は昨年、GENIUS法を通じてステーブルコインの準備資産を米国債や預金などに限定する規制を導入した。現在、上院で議論しているCLARITY法も、ステーブルコインを制度圏に取り込もうとする試みだ。ただ、規制の外で運営される海外のステーブルコインや、報酬プログラムを実質的に利子のように設計する迂回の余地はなお残る。
ステーブルコインが実際の決済手段として広く使われているかどうかも疑わしい。カンザスシティー連邦準備銀行の研究によると、現在の大半のステーブルコインは暗号資産の取引に使われており、実体経済の決済に占める比率は1%未満と推定される。制裁逃れや資金洗浄などの違法取引に使われるとの指摘もある。
それでも、ステーブルコインが消える可能性は低いとみられる。金融界と規制当局はいずれも、ステーブルコインを制度圏に組み入れる方策を探っている。銀行は代替策として「トークン化預金」を打ち出し始めた。ブロックチェーンの速度と効率性を生かしつつ、中央銀行システムとつながるドルの安定性を維持する構想だ。
イ・ヘイン記者 hey@hankyung.com

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