概要
- ホルムズ海峡の封鎖による エネルギー供給ショック で、米国・英国・日本・EUの 実質賃金 が低下し、実質所得が減少したと伝えた。
- 各国で 物価上昇率 が 賃金上昇率 を上回り、消費者の 購買力悪化 が 景気後退 につながるとの懸念が強まっているとした。
- 高い インフレ に対応するため、各国中央銀行の 利上げ の可能性が取り沙汰され、米 連邦準備理事会(Fed) と ECB の利上げ観測が強まっていると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


労働市場にも波及か、主要国で「Sの恐怖」拡大
米国は2年ぶり実質賃金マイナス
日欧も数年にわたり伸び悩み
高インフレ抑制へ利上げ観測も

ホルムズ海峡の封鎖に伴うエネルギー供給ショックで、米国、英国、日本、欧州連合(EU)など主要先進国の実質所得が減少した。米国とイランの戦争をきっかけとしたエネルギー供給ショックが、労働市場に波及するとの懸念が強まっている。
米労働統計局(BLS)によると、米国の4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%上昇した。一方、時間当たり平均賃金の上昇率は3.6%にとどまった。物価上昇が賃金の伸びを上回り、米労働者の実質賃金は約2年ぶりに減少へ転じた。
同様の流れは他国でもみられる。英国では1〜3月期の平均賃金(賞与除く)の実質上昇率が0.1%にとどまった。日本は賃上げ率が物価上昇幅に4年連続で追いついていない。厚生労働省によると、1人当たり実質賃金(従業員5人以上の企業)は2025年が2024年比0.5%減った。ユーロ圏全体でも実質賃金は事実上ゼロ成長にとどまる公算が大きい。英紙フィナンシャル・タイムズは「2022年のウクライナ戦争に伴う物価ショックからようやく回復しつつあった欧州の実質賃金が、再び打撃を受けた」と指摘した。
消費者の購買力低下が景気後退につながるとの警戒は強い。KPMG USのダイアン・スウォンク主席エコノミストは、高インフレが企業収益を圧迫し、雇用にも打撃を与えると指摘した。労働者が賃上げ要求を強めれば、インフレがさらに長期化しかねないとも分析した。
各国の政策当局も難しい対応を迫られている。米国では、ドナルド・トランプ政権が実施した税還付政策の効果が物価上昇で大半打ち消されたとの分析が出ている。米小売り大手ターゲットのジム・リー最高財務責任者(CFO)は、税還付による恩恵は年末に向けて徐々に薄れるとの見通しを示した。フランスなど大半の先進国は財政不安を抱えており、減税や補助金支給といった政策手段は限られる。
こうしたなか、各国の中央銀行が利上げに動く可能性が取り沙汰されている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測は強まっている。欧州中央銀行(ECB)のイザベル・シュナーベル専務理事はロイター通信に対し、戦争が終わっても市場全体への傷は大きいとして、6月の利上げが必要だと訴えた。カトリック大のヤン・ジュンソク経済学科教授は、実質賃金は時間差を伴って物価を追う傾向があるとして、まずは利上げでインフレを抑える可能性が大きいと語った。
ハン・ミョンヒョン 韓経ドットコム記者 wise@hankyung.com

Korea Economic Daily
hankyung@bloomingbit.ioThe Korea Economic Daily Global is a digital media where latest news on Korean companies, industries, and financial markets.
